理学療法士・作業療法士が公務員として働いた場合の給料【保存版】
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- PT・OT公務員の給料が知りたい!?
- PT・OT公務員のなり方は?
- メリットやデメリットってあるの?
理学療法士・作業療法士として働いていく上で、給料や福利厚生を含めた安定は大切です。
理学療法士や作業療法士は仕事内容は同じですが、働く病院や施設によって給料・福利厚生・退職金などに大きな差があります。
療法士の中で最も昇給額が大きく、安定しているのが公務員療法士です。
公務員療法士になれば、平社員でも年収600万円超えでリストラリスクもほぼゼロで将来安泰です。
しかし、新卒での就職はもちろんのこと、転職でも人気の高い公務員理学療法士・作業療法士で採用されるのは一握りです。
実際の公務員理学療法士・作業療法士がどのぐらい給料をもらっているか気になりますよね?
そこで、本記事では公務員療法士の給料はもちろん、初任給や昇給形態に関しても詳しく解説します。
この記事を参考にすれば、憧れの公務員療法士への道のりがわかります。これから、公務員を目指す方は、是非参考にして下さい。
本文では、みなし公務員との違いもわかりやすく解説しています。
まね
公務員理学療法士・作業療法士の給料は、民間病院で勤務する療法士とは雲泥の差です。
高所得公務員療法士のお金事情を知りたい方は最後まで読んでださいね。
目次
理学療法士・作業療法士の公務員とみなし公務員の違い
いきなりご質問ですが、公務員とみなし公務員(準公務員)の違いをご存知ですか?
みなし公務員(準公務員)という言葉を初めて聞く方もいるでしょう。
みなし公務員は、民間企業に所属しながら公共性・公益性の高い職業に従事している者を指します。
理学療法士・作業療法士でいえば、元々は国が運営していたが、現在は法人が運営している医療機関で働く療法士が該当します。
代表例として、下のようなものがあります。
- 国立病院機構
- 国公立大学附属病院
- KKR(国家公務員共済組合連合会)病院
- 国立高度専門医療研究センター
公務員とみなし公務員の大きな違いは下のとおりです。
公務員 | みなし公務員 | |
---|---|---|
給料 | 人事院規則 | 法人決定 |
雇用保険 | なし | あり |
雇い主 | 国や地方自治体 | 法人 |
働く場所 | 国や市町村が運営する施設 | 法人化されている施設 |
公務員の給料は、人事院規則という法律に基づいて決定します。
国家公務員一般行政職は、「行政職俸給表」の適用を受けて報酬額が決まる仕組みになっています。
一方で、みなし公務員は法人が給料を決定します。法人が決定するといっても、公務員の給料とほぼ同じです。
また、雇用保険の有無も大きな特徴です。
公務員に、は雇用保険(失業給付)がありませが、みなし公務員には雇用保険(失業給付)があります。
公務員かみなし公務員かわからない人は、健康保険証を見て下さい。
共済健保なら公務員。もしくは、給与明細を見て雇用保険の項目で引かれていなければ公務員です。
理学療法士・作業療法士が公務員として働くデメリット
理学療法士・作業療法士が公務員として働くデメリットは、下の5つです。
- 年功序列
- 意見が通りにくい
- 多忙
- 副業禁止
- 初任給が低い
1つずつ解説します。
公務員として働くデメリット1:年功序列
公務員理学療法士・作業療法士として働くデメリットの1つ目は、年功序列です。
評価されるのは、臨床経験ではなく経験年数です。
つまり、公務員は勤続年数がステータスなのです。
勤続年数に比例して給料が上がります。
このように、経験年数に応じて号俸が決められています。
- 資格取得
- 論文執筆
- 他者より優秀
上記のように明らかに優秀で実績があっても、年齢が最優先され年齢順に役職についていきます。
実力至上主義の方は、フラストレーションが溜まりモチベーションを維持するのが難しいでしょう。
公務員として働くデメリット2:意見が通りにくい
公務員理学療法士・作業療法士として働くデメリットの2つ目は、意見が通りにくい点です。
民間病院ではリハ部だけで処理できる問題も他部署や幹部クラスの承認を得なければなりません。
民間病院と公的病院の違いとして下の3つがあります。
- 書類・捺印が多い
- トップダウン方式
- 新しい考えは嫌われる
多くの公的病院の風通しが悪いのは、伝統や風習を重んじる傾向にあるからだと考えます。
公務員として働くデメリット3:多忙
公務員理学療法士・作業療法士として働くデメリットの3つ目は、多忙な点です。
公務員理学療法士・作業療法士の職場では、民間病院とは違い採用枠が決まっています。つまり、一人辞めないと基本的に新規採用はありません。
理学療法士・作業療法士は看護師とは異なり、一般病棟配置人数の規定はありません。なので、病床数に対して人数が圧倒的に足りない場合があります。
ゆっくり、少人数の患者さんを担当したい方には向いていない職場環境です。
公務員として働くデメリット4:副業禁止
公務員理学療法士・作業療法士として働くデメリットの4つ目は、副業禁止の点です。
公務員の副業禁止は、「国家公務員法」と「地方公務員法」の2つの法律で下のように定められています。
国家公務員法 第103条
職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
国家公務員法 第104条
職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。地方公務員法 第38条
職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。
要するに、「営利目的のための活動や関わりはしてはいけません」ということです。
また下のようにも規定されています。
国公法 第99条:信用失墜行為の禁止
本人は勿論、所属する職場、公務員自体のイメージを壊さない、信用をなくさない為
国公法 第100条:守秘義務
本業の秘密が副業などを通して外部に漏れないようにする為
国公法 第101条:職務専念の義務
精神的・肉体的な疲労などにより、本業に支障が出ないようにする為
これも簡単にまとめると下のようになります。
- 信用保持
- 守秘義務
- 本業への支障回避
今後は公務員も副業解禁になるといいですね。みなし公務員も原則は禁止のところが多いです。わからない時は、病院・施設規定を確認しましょう。
公務員として働くデメリット5:初任給が低い
公務員理学療法士・作業療法士として働くデメリットの5つ目は、初任給が低い点です。
「独立行政法人国立病院機構の新卒募集情報」を参考にすると公務員理学療法士・作業療法士の初任給は、大卒で基本給18万6,100円、短大卒で17万4,900円です。
この基本給に、住宅手当や資格手当などの各種手当が加算されます。
一方、「2019年の賃金構造基本統計調査」によると理学療法士・作業療法士全体の初任給平均は男性が22万9,800円、女性が22万7,900円となっており約23万円です。
初任給は5万円程度、民間の病院の方が高い傾向にあります。
しかし、新卒から高収入を得たい方にとってはデメリットになります。
理学療法士・作業療法士が公務員として働くメリット
理学療法士・作業療法士が公務員として働くメリットは、下の5つです。
- 福利厚生
- 雇用が安定
- 不当な扱いを受けにくい
- 休みがカレンダー通り
- 残業代が出る
1つずつご説明します。
公務員として働くメリット1:福利厚生
公務員理学療法士・作業療法士として働くメリットの1つ目は、福利厚生です。
公務員理学療法・作業療法士は昇給率だけでなく、福利厚生も充実しています。
- 住宅手当
- へき地手当
- 寒冷手当
- 休日勤務手当
- 退職金…etc
この他にも、夏季休暇や前職の経験年数を加味した経験手当などたくさんあります。
とにかく公務員・みなし公務員理学療法士・作業療法士は民間病院では目にすることのない手当がたくさんあります。
公務員として働くメリット2:雇用が安定
公務員理学療法士・作業療法士として働くメリットの2つ目は、雇用が安定してる点です。
民間病院や小さなクリニックでは、経営不振により解雇されるリスクや院長の健康状態悪化などにより職を失うリスクがあります。
一方で、公務員療法士は規則に反する行為をした場合を除きリストラリスクはありません。なぜなら、経営不振に陥っても国や自治体がテコ入れをしてくれるからです。
また40・50歳になると他の病院に転職することは難しく、雇用条件が悪くても定年まで病院にしがみ付く状態になります。この点、公務員療法士の場合は高給取りなので、給料面で他の病院へ転職を考える必要がありません。
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公務員として働くメリット3:不当な扱いを受けにくい
公務員理学療法士・作業療法士として働くメリットの3つ目は、不当な扱いを受けにくい点です。
公務員理学療法士・作業療法士は民間病院に比べて不当な扱いを受けるリスクが低いです。
例えば、国立病院機構だと全日本国立医療労働組合があり、一人ひとりでは弱い立場の労働者も組合があることにより、労働者としての権利や働き方などを訴求することができるます。
なので、不当な労働条件で過酷な労働を強いられるリスクは低いです。
一方、民間病院・施設等では労働組合が存在するところは少なく、労働条件の改訂や交渉といったことができません。
つまり、仮に時間外で働いても自己研鑽という理由をつけられ過酷な労働を強いられる可能性などが出てきます。
公務員として働くメリット4:休みがカレンダー通り
公務員理学療法士・作業療法士として働くメリットの4つ目は、休みがカレンダー通りの点です。
近年、365日体制で勤務する病院が増えてきました。子供や友人とのイベントは基本的に土日にあって土日休みは羨ましいですよね?
公務員・みなし公務員は基本的には土日・祝日が休日となります。
仮にローテーションで出勤することになった場合、手厚い休日手当がつきます。
私が以前勤めていた回復期病棟では、土日出勤しても手当はありませんでした。
基本暦通りの勤務体制、そして仮に出勤した場合には手厚い手当が付く点も公務員理学療法士・作業療法士の魅力の1つですね。
公務員として働くメリット5:残業代が出る
公務員理学療法士・作業療法士として働くメリットの5つ目は、残業代がしっかりと支給させる点です。
残業をして残業代が出ることは当たり前ですが、民間病院やクリニック等では残業代が出ない病院がたくさんあります。
小さなクリニック勤めで、院長に「残業代ください」なんて中々言えませんよね?
公務員理学療法士・作業療法士は残業代未払いになるケースはありません。公的病院では、ハラスメント対策など国が積極的に取り組んでいる政策が反映されやすい環境にあります。
従って、残業代未払いやハラスメント行為などに関しては民間病院より厳しい規定が敷かれています。なので、発生した残業に対しては、しっかりと残業代が支払われます。
療法士界では、「勉強会」、「自己研鑽」という魔法の言葉で残業を強いられるケースが多い印象です。
公務員理学療法士・作業療法士の給料・ボーナス
ここからは公務員理学療法士・作業療法士のお金事情を、下の4つに分けて解説したいと思います。
- 初任給
- 昇級額
- 平均給料
- 平均年収
それでは、1つずつ解説します。
公務員理学療法士・作業療法士の初任給と昇級額
まず、公務員理学療法士・作業療法士の初任給と昇級額から解説します。
今回は、みなし公務員である国立病院の理学療法士・作業量療法士のデータを参考に解説します。
公務員とみなし公務員の給与形態はほぼ同じです。
まず、国立病院は「独立行政法人国立病院機構 職員給与規定」によって定められています。
給与体系は「俸給表」で決まっています。
国立病院機構の理学療法士・作業療法士はみなし公務員であり、国家公務員同様に「医療職基本給表(二)」の給料が支給されます。
医療職基本給表(二)は1~5階級に分かれており、入職時は1級で経験年数や役職により級が上がります。
また、初任給は「 短大3年卒」か「大学卒」かで号級が変わります。
それでは、実際の医療初期基本給表を見てみましょう!
公務員PT・OTの初任給
- 短大3年卒:174,900円
- 大学卒:186,100円
軸の見方
- 縦軸(号):経験年数
- 横軸(級):役職
国立病院機構で理学療法士・作業療法士の科長になると、5級の80号が最大で基本給は407,200円が最大となります。
これに手当がつくので,雇われ理学療法士・作業療法士の世界では間違いなくトップクラスね!
公務員理学療法士・作業療法士の平均昇給額
次は、公務員理学療法士・作業療法士の平均昇級額を解説します。
国立病院機構の昇給率は人事評価により多少上下しますが、概ね決まっています。
国立病院機構に勤める友人からの情報ですが、普通にしていたら4号棒は上がるそうです。
先程の医療職基本給表(二)を参考にすると下のようになります。
短大3年卒で基本給は174,900円で「勤務成績が良好で4号棒Up」の場合、2年目の基本給は186,100円となります.
初任給は低いけど昇給率が高いわね!
公務員理学療法士・作業療法士の平均給料
公務員理学療法士・作業療法士の平均給料はどのくらいでしょうか?
人事院が報告している、令和2年国家公務員等実態調査の結果では、平均給与が310,456円となっています。
310,456円はあくまで基本級なので、ここに住宅手当・通勤手当などの各種手当がプラスされます。
住宅手当上限27,000円、交通費5,000円、扶養手当10,000円と仮定しても、月収350,000円以上はありそうですね。
月収35万円の理学療法士・作業療法士なんて、ほとんどいないわね。やはり、公務員療法士は高収入ね!!
公務員理学療法士・作業療法士の年収
最後は気になる公務員理学療法士・作業療法士の年収です。
やっぱりトータルが気になりますよね?
公務員理学料療法士・作業療法士の強みは、民間病院と比較してボーナス支給額が多い点です。
民間病院では概ね3ヶ月程度が平均となります。
コロナ禍でボーナス減や支給がなかった病院や施設も多かったのではないでしょうか?
では、気になる国立病院機構のボーナス支給額はいくらでしょう?
2020年度の国立病院機構のボーナスは4.2ヶ月分でした!!
さすが国立!安定してるわ!
年収計算をまとめると下のようになります。
ボーナス:基本給(310,456円)×4.2≒130万円
年収:35万×12ヶ月+130万円=550万円
ちなみに,厚生労働省の賃金構造基本統計調査によれば、理学療法士・作業療法士の平均月収は28万7,5000円で年収としては409万6,400円となっています。
- 公務員PT・OT年収:550万円
- 民間PT・OT年収:409万円
- 年収差:約140万円
理学療法士・作業療法士の年収について詳しく知りたい方は、下の記事が参考になります!
公務員理学療法士・作業療法士のなり方
公務員理学療法士・作業療法士のなり方について解説します。
公務員理学療法士・作業療法士になるためには面接や小論文だけでなく、一般教養試験を受けなければなりません。
公務員療法士になるための手順は下の通りです。
特徴的なのが、専門試験だけでなく一般教養試験がある点です。普段見慣れない問題を解くのに苦戦する理学療法士・作業療法士は多いです。
一方で、みなし公務員にあたる国立病院機構などの採用試験には一般教養試験がないことが多いです。
実際に上の国立病院機構の試験内容を見てみると、一般教養試験はありません。
国立病院機構の試験内容
- 専門試験(小論文含む)
- 面接
なお、専門試験は国家試験に合格するレベルの知識があれば問題なく合格レベルの試験と考えてください。
公務員理学療法士・作業療法士の求人の探し方
公務員・みなし公務員の求人はとても人気が高く、倍率が高い傾向にあります。また応募締め切りが、7~9月と早い傾向にあるもの特徴です。
なので、下の5つは必須項目です。
- 試験対策を早めに開始
- 就職・転職範囲を拡大
- 複数応募
- 病院HPを頻回にチェック
- 転職エージェントの利用
一般教養・専門・小論文と公務員理学療法士・作業療法士の試験科目は多いです。なので、早めに勉強を開始し対策を練る必要があります。
学校によっては7~9月は臨床実習期間であり苦労します。
また、一つの求人だけに絞ると落ちた時に対応できないため、複数に応募し保険をかけておくことをオススメします。
公務員・みなし公務員の求人は少なく、人気のため転職エージェントに登録し情報収集した方が求人の取りこぼしは少ないでしょう。
他の転職エージェントが知りたい方は、療法士が転職に失敗しないためのオススメ無料転職エージェントが参考になります。
転職エージェントって何?
無料なの?
このような疑問がある方には、「今更聞けない|転職エージェントと転職サイトの違いを徹底解説」が参考になります。
理学療法士・作業療法士が公務員として働いた場合の給料のまとめ
今回は、公務員理学療法士・作業療法士の給料に関して解説しました。
給料が低い理学料療法士・作業療法士の中では,圧倒的に高収入な公務員療法士です。
なるまでに、苦労しますが一度なれば倒産や解雇リスクが極めて低く収入も安定しています。
公務員療法士に挑戦し、豊かな生活を手に入れましょう!