理学療法士の年収が低い事を知らずに目指すのはヤバイ！その理由を教えます

本記事を読めばこのような悩みを解決することができます。

「これから理学療法士を目指したいけど、年収ってどうなの？」とお悩みのあなたへ。

「理学療法士は国家資格だから安泰」

「これからは高齢化社会だ！」

「病院だから収入が安定している！」

ネット情報や親、また学校の先生などからこのように言われて目指してみようかなと感じる方も多いのではないでしょうか。

ちょっと待ってください。それだけの情報で理学療法士を目指すのは危険です。

だって、あなたが将来思い描いている生活をするために理学療法士の年収では足りないかもしれないから。

そこで、本記事では理学療法士の平均給料はもちろん、現役の理学療法士の実際の年収を後悔します。理学療法士になるか迷っている方はもちろん、理学療法士を目指すことは決めているが、どうしたら年収を上げることができるかを事前に知っておきたい方も参考になります。

理学療法士の年収は本当に低いの？

少子高齢化が急速に進む本邦において、学生、もしくは社会人から理学療法士を目指そうかな…と悩んでいるあなたに現役理学療法士として言っておきたいことがあります。

それは『年収をしっかり把握しといた方がいい』ということ。

この記事を読むということは、理学療法士を目指したいけどぶっちゃけ年収・給料はどうなの？…って感じている方だと思います。

理学療法士になったはいいが、年収が低くて好きなことができない。また、結婚や子育て、マイホームなど将来お金がかかることはたくさんあるので不安になりますよね。

年収が低いと、子供に好きなことをさせてあげれない。また、パートナーに負担をかけてしまう可能性もあります。

なので、理学療法士の年収が低いのか気になってしまうのも仕方ありません。

私も含め多くの理学療法士を目指す方は、理学療法士になるということだけに目がいきがちです。

肝心の年収や将来に渡りかかる金銭的負担を考えず、理学療法士になることは言わずもながな危険です。

だって、3〜4年間養成校に必死に通って勉強して、その後に「理学療法士の年収ってこんなに低いの…」と感じてからでは遅いから。

なので、理学療法士の平均年収を知ることはもちろん、他の医療職種や一般サラリーマンとの年収差を知る。また、この先理学療法士の年収推移はどうなるのかを知っておくことは人生を失敗しないために大切。

すでに理学療法学科に在籍している学生や理学療法士になることは決めている方は、この記事の終盤でどこに就職すれば年収を平均以上にあげれることができるかを解説しています。

理学療法士の平均年収

厚生労働省の賃金構造基本統計調査によれば、理学療法士の平均月収と年収は下記のとおりです。

＊平均年収はボーナスも含む金額です。

一人ひとり控除額や社会保険料が異なるため一概に言えませんが、年収409万円6,400円の理学療法士の平均手取り金額は320万円前後となります。

理学療法士の手取り平均額は年間320万円程度

「思っていたより高いな！」

「えっ意外に貰える！」

こう感じた方は要注意。平均年収を上げてくれているのは「理学療法士は金の卵」と言われていた50代後半の方のおかげ。

この世代の方は給料が高く、待遇も良かった方達です。なぜなら、診療報酬（ルール）が理学療法士に優遇されていたからです。診療報酬は少しずつ、そして確実に改悪されています。

なので今の20〜30代の若手が50代になった時は間違いなく、平均年収は今より低くなります。

理学療法士と他職種の年収を比較

「理学療法士って医療職種の中では給料高いの？」

「他の医療職種の年収を知りたい」

このように感じる方も多いのではないでしょうか。

それでは上記2つに関してそれぞれ比較します。

理学療法士と他の医療職を比較

まずは理学療法士と他の医療職との給料比較です。

医療職別平均月収

職業	平均月収	賞与	年収
理学療法士	28万7,500円	64万6,400円	409万6,400円
医師	91万円	77万2,300円	1169万2,300円
薬剤師	39万8,600円	83万3,300円	561万6,500円
看護師	33万4,400円	81万6,300円	482万9,100円
准看護師	28万2,400円	64万1,600円	403万400円
診療放射線技師	34万6,200円	86万5,100円	501万9,500円
臨床検査技師	31万1,400円	87万5,400円	461万2,200円
歯科衛生士	26万8,700円	48万400円	370万4,800円
介護支援専門員	27万5,200円	62万8,000円	393万400円
福祉施設介護員	24万4,500円	53万1,700円	346万5,700円

理学療法士と一般会社員を比較

続いて、理学療法士と一般企業のサラリーマンの年収比較です。

国税庁が行なった民間給与実態統計調査によれば会社員の平均年収は441万円となっています。

一般会社員と約30万円の差があります。

前述したように、50代の高収入世代の理学療法士がいなくなると、平均年収の差はさらに大きくなります。

理学療法士の年収が低い理由

この章では理学療法士の年収が低い理由を解説します。

理学療法士の年収が低い理由

それでは1つずつ解説します。

供給過多・飽和状態

理学療法士の年収が低い理由1つ目は「供給過多・飽和状態」です。

1965年に理学療法士の国家資格が制定されました。制定当初は人数が少ないため「売り手市場」でした。

それから少しずつ人数が増え、2000年の養成校緩和により年間に10,000人以上の理学療法士が誕生するまでになりました。

ここ20年間で爆増したのがわかります。

爆増に伴い何が起きたのか…

そう、需要と供給の逆転。つまり、もう理学療法士の人数は足りてきていて、これ以上はいらないよってことです。

実際に、厚生労働省が提示した下記の図を見てください。

ポイント

つまり、「国家資格は取得したが働く先がない」「転職したくても求人がない…」

そんな未来がすぐそこまできています。

診療報酬の点数と時間的縛り

理学療法士の年収が低い理由1つ目は「診療報酬の点数と時間的縛り」です。

「理学療法士は昔は稼げていたよ！でも今はね…」

こんな、話を学校の先生や友人から聞いたことがあるのではないでしょうか。

実は今と比べて診療報酬上のリハビリ項目の点数が高く、収益をたくさん上げれていました。収益をたくさん上げることができるということは、売上への貢献度が高いということ。

つまり、会社からもらえる給料（報酬）が高くなることを意味します。

しかし、2000年をピークにその後はマイナス改定のオンパレード。また、理学療法士は医師や看護師とは異なり、診れる患者さんの上限が決まっています。

なので、自然と稼げる上限も決まってきます。

開業権がない

理学療法士の年収が低い理由3つ目は「開業権がない」です。

理学療法士は医師の指示のもと理学療法を行うことが法律上定められています。

理学療法とは、 身体に障害のある者に対し、主としてその 基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺 激、マツサージ、温熱その他の物理的手段を加えること．この法律で「理学療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、理学療法士の 名称を用いて、医師の指示の下に、理学療法を行なうことを業とする者をいう。 

作業療法とは、身体又は精神に障害のある者に対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作その他の作業を行なわせることをいう。この法律で「作業療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、作業療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、作業療法を行なうことを業とする者をいう。

引用；理学療法士及び作業療法士法 より

なので、整骨院みたいに店舗を構えることができません。

ただ、起業することはできます。

例えば、訪問看護ステーションを立ち上げ社長になる。

ただ、言わずもがな成功するのはほんの一握り…

政治力が弱い

理学療法士の年収が低い理由4つ目は「政治力が弱い」です。

理学療法士の国会議員は存在しません。医師はもちろん、薬剤師、看護師には国会議員が存在します。

「なんで国会議員が必要なの？」

「医療と何が関係あるの？」

密接に関係しています。

政治力がないと、自分達の行っている業務内容の価値を診療報酬に反映できません。つまり、診療報酬上の理学療法実施料の点数を上げることが難しいのです。

国会議員がいないと、だ理学療法実施点数が減算されていくのは火を見るより明らかなのです。

昇給額が低い

理学療法士の年収が低い理由5つ目は「昇給額が低い」です。

前述したように大ベテランでも新人でも稼げる額は決まっています。なので、経験を重ね技術や資格を取得しても経営側からすると同じ駒であることに変わりはありません。

考えてみてください。

あんなたが経営者だった場合、何年経っても稼げる収益が同じ職業に給料をたくさんあげますか？

あげませんよね。これが一般会社員と理学療法士との大きな差です。

理学療法士の皆さま、年に1回の4月の昇給額はおいくらだったでしょうか？

私が経験した1番低い昇給額はスタッフ全員一律1,000円でした。
人事評価の仕組みはありましたが形だけで報酬には結びつかない作りになっていましたね。

— ゆとりコメディカル (@yutorinoPT) May 13, 2022

理学療法士の昇給額は1,000円〜3,000円一般的となっています。

仮に、23歳新卒で初任給18万円で昇給額が1,000円だとすると50歳で基本給20万7,000円。

理学療法士の低い年収は今後も続くの？

前章では年収が低い要因5つを解説してきました。

「今は低いけど今後はどうなの？」

「人数が増えると組織力が高まるのでは？」

こう感じた方もいるのではないでしょうか？

厳しいことを言いますが、年収が下がることはあっても上がることはないでしょう。

実際に1995年から2016年までの各医療職の給与水準を見てみましょう。

理学療法士のみが給与水準が低下しています。

「過去のデータに過ぎない！」

「今後はわからない」

まだこのように感じる方もいるかと思います。

しかし、前述したように下記のような状況です。

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20〜30代が多いため役職に就けない

もう一点、これから理学療法士を目指す方にとって厳しい状況があります。

それは若手理学療法士が多いため管理職に就けないということです。

理学療法士の年齢分布は下記のとおりです。

上の図のように、若手が多く50代以上のベテランが少ないのが理学療法士の人口動態の特徴です。

50代の方は思考停止で働いていても勝手に役職に就くことができました。入社当時は理学療法士は自分一人だけってこともザラにありました。

しかし、今は同世代のライバルがたくさんいます。自分よりも一人でも優秀な人がいれば、出世ゲームからはリタイア…

こんな環境です。管理職になれないと年収アップはできません。

つまり、一生低賃金の平社員…

今から理学療法士になろうと考えている方は、このような現状があることを理解した上で目指す必要があります。

理学療法士の年収調査結果

この章では、気になる現役の理学療法士のリアルな年収に関して調査した結果をまとめます。

調査に協力してくれたのは5名の現役理学療法士です。

下記の5つの質問に答えていただきました。ご協力ありがとうございました。

それでは現役理学療法士のリアルな年収事情を覗いてみましょう！

現役理学療法士①：Sさん

年齢・性別

28歳・男性

経験年数

6年目

勤務先

回復期リハビリテーション病棟

年収

402万円

一言

私の勤めている医療法人は地域包括ケア病棟・回復期・医療療養型などの病棟を運営しています。理学療法士だけでも法人内には50名以上います。

正直年収は低いと感じています。あまり昇給もしないので、20代のうちに転職を考えています。

現役理学療法士②：Tさん

年齢・性別

25歳・女性

経験年数

3年目

勤務先

回復期病棟

年収

380万円

一言

歩行介助や移乗など仕事はハードです。やりがいはありますが、正直もう少し給料は上げてほしいと感じています。

同期の介護福祉士の方が、給料がいいのでなんだかなぁと感じている次第です。

現役理学療法士③：Uさん

年齢・性別

34歳・男性

経験年数

12年目

勤務先

公的病院

年収

510万円

一言

6年目で民間病院から公的病院に転職しました。民間病院の時は昇給額が1,000円でしたが、公的病院に転職後は7,000〜8,000円ぐらいは昇給しています。

結婚前に転職しておいて良かったです。

現役理学療法士④：Iさん

年齢・性別

男性・32歳

経験年数

10年目

勤務先

訪問看護ステーション

年収

530万円

一言

特になし。

現役理学療法士⑤：Yさん

年齢・性別

45歳・女性

経験年数

23年目

勤務先

医療・療養型病院

年収

440万円

一言

3回転職をしています。現在は子供が3人いるので、時間の融通が聞きやすい病院で勤務しています。給料は多くないですが、その分有休や時短勤務などは取りやすい環境です。

理学療法士の年収は働く場所で雲泥の差

上記の5例を見てわかるように、働く場所で年収は大きく異なります。

収入や福利厚生、また倒産リスク等から総合的に判断すると公務員や準公務員（国立病院機構など）が就職先としてはオススメです。

公務員や公的病院勤務だと、エスカレーター式に昇級し誰でも再現性高く600万円程度は稼げます。ただ、人気があるのはいうまでもなく、狭き門です。

では、どうやったら公務員、準公務員理学療法士になりやすいのか…

それは、国立大学や大学附属病院を持つ私立大学の理学療法学科を卒業すること。国立大学や大学附属病院を持つ私立大学は、専門学校に比べて圧倒的に公的病院に就職しやすいです。

特に附属病院は優先的に大学の卒業生をとる傾向にあります。

国立大学や有名私立大学は専門学校に比べて難易度が高いですが、卒後のことを考えると目指す価値があります。

民間と公的病院では生涯賃金が雲泥の差

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理学療法士が年収は低い！年収を上げる方法

この章では理学療法士が年収を上げる方法について解説します。

年収を上げる方法は大きく3つあります。

それでは解説します

年収を上げる方法①：起業

理学療法士が年収を上げる方法1つ目は「起業」です。

開業権の項で少し解説しましたが、理学療法士は開業権がありません。なので、「開業」ではなく「起業」するのです。

自分で訪問看護ステーションなどを立ち上げてスタッフを雇用し事業を拡大していきます。事業が波に乗れば、大きく稼ぐことができます。

一方で、理学療法以外の知識や人脈が必要となってくるので、難しいのはいうまでもありません。

年収を上げる方法②：転職

理学療法士が年収を上げる方法2つ目は「転職」です。

理学療法士界隈の中でも高年収な職場に転職をします。具体的には、公的病院や訪問看護ステーションが候補となります。

公的病院は倍率が高く、難易度が高いです。一方では、訪問看護ステーションは比較的容易に内定がもらえ、稼ぐことができます。

年収を上げる方法③：副業

理学療法士が年収を上げる方法3つ目は「副業」です。

理学療法士だけの給料では平均年収である409万円前後に収束してしまいます。なので、他の仕事を併用し「本業＋副業」の二刀流で収入アップを目指します。

具体的には、YouTube・ブログ・ライター・せどりなどがあります。政府の副業推進と共に副業で稼ぐ方が増えてきました。

学生時代から様々なスキルを身につけ、理学療法士以外で稼ぐ方法を身につけておくことはリスクヘッジとして重要です。

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理学療法士の年収は低い！現役理学療法士に年収を聞いた結果：まとめ

本記事では理学療法士の年収が低い理由から、どのように対策をとっていくかについて解説しました。

改めて理学療法士の年収に関してまとめます。

理学療法士の年収

サラリーマンの平均年収である441万円と比較すると約30万円低い状況となっています。

今後も供給過多や飽和状態により、昇級額が望めない状況です。

これから理学療法士を目指そうか悩んでいる方は、しっかりと情報取集して後悔しないような選択をしてくださいね。

理学療法士についてもっと調べたいという方は下記の本が参考になります。

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